8月20~25日、北京で世界ロボット大会(World Robot Conference)が開催され、多くの観客を動員し、注目が集まった。また大会期間中、世界ロボット博覧会、世界ロボットコンクールも同時に行われた。
この博覧会では工業ロボット、サービスロボットや特種ロボットなどに分けられ展示されていおり、その内、工業ロボットが依然として市場の主流として注目を浴ていたが、サービスロボットや特殊ロボットの発展も期待されている。
工業ロボットの展示では、新松(SIASUN)、哈工大機器人(HRG)、安川首鋼、ABB、格力(GREE)など、国内外の有力ロボットメーカーが参加し、工場生産に応用するロボットアームが展示された。ロボット以外に、各企業のソリューションとシステムも披露され、IoT技術を利用し、リアルタイムで工場のロボットをリモート操作でき、効率向上とコストダウンを実現させる。今後、5G通信の導入も期待されており、低遅延、超高速の特長でロボットのさらなる活躍が可能になります。サービスロボットはホーム向け、商用、医療用、教育用製品があり、さまざまなシーンに応用できる製品が披露されました。
北京天智航医療科技股份有限公司(TINAVI)が開発した外科手術用ロボットが展示された。TINAVIは2005年に設立され、国内初の医療用ロボットの開発、製造に注力している。
この大会では、「中国機器人産業発展報告2019」(以下は「報告」)が発表されており、「報告」によると、2019年世界のロボット市場規模が294.1億ドルに達すると予測されている。内訳として、中国のロボット市場規模が86.8億ドルとなり、30%弱のシェアになり、特に工業用ロボットが世界最大の57.3億ドルになると予測されている。
中国ローカルメーカーは近年、技術や市場シェアが向上しているが、コントローラー、サーボシステム、精密減速機などのコア部品の開発が遅れており、性能や安定性などが海外メーカーに匹敵できないのが現状となっている。また、中国では、ロボットの参入メーカーが多いが、半分以上が組み立てやOEMであり、しかもローエンド製品中心であるため。中国ロボット産業をハイエンド化にすることが現段階の課題となる。
中国政府はロボット産業の発展を促進するため、2015年に発表された「中国製造2025」でロボットを一つの重点発展分野として国の戦略に位置づけている。さらに2016年、工信部、発改委、財政部が共同で「機器人産業発展規画(2016~2020年)」を発表し、2020年まで自主ブランドの工業用ロボットの年間生産台数が10万台、垂直多関節ロボット(6轴以上)の年間生産台数が5万台、サービスロボットの年間売り上げが300億元を超えるといった計画がされている。また、2020年まで国際競争力を有するロボットメーカー3社を育成することも発表している。
代表的なロボットメーカーとして注目されている新松(SIASUN)は、2000年に設立した会社であり、わずか7年で自社開発した製品を米国GEへ納入した実積がある。また、2019年までの間に、香港、韓国、シンガポール、タイなど8箇所の海外開発拠点を設置している。同社の2018年売上は31億元(約4.3億ドル)であり、2017年より26%増となった。さらに、新松(SIASUN)以外では、上海時達機器(Shanghai STEPRobotics)、広州数控設備(GSK)、安徽埃夫特智能装備(EFORT)、南京埃斯頓(Estun)、蘇州汇川技術(Inovance)、広東拓斯達(Topstar)などの企業も急成長している。また、近年の中国ではAI分野が急成長を遂げ、特許の申請数などが米国に追いついている。UBTECHが発表したサービスロボットにおいて顔認証、音声認証などAI技術の応用が行われており、将来、AI技術をロボットに応用することも期待されている。