台湾経済日報の報道によると、紫光集団はDRAMの自主開発・製造に注力する。今後十年間にかけて8,000億元を投資し、DRAMの量産化に向けて推進する。
紫光集団は6月30日、DRAM事業部門の設立を宣言し、正式的にDRAM事業へ参入した。さらに8月27日に、紫光集団と重慶市政府は紫光集団が重慶市にDRAM事業本部および生産工場を建設することに合意し、提携協議に調印した。協議によると、紫光集団は重慶市に開発センター、または12inのDRAMウェハ工場を建設すると発表された。
メモリー市場では、NAND FLASHは主にSamsung、SK Hynix、Micron、東芝、WDC、Intelなどがメインであり、DRAMはSamsung、SK Hynix、Micronの三大メジャーおよび台湾Winbondなどが上げられる。中国は世界最大の半導体市場であるが、海外メーカーへの依存度が高く、特にメモリ製品の自給率がまだ低い。中国海関総署の統計によると、2018年のIC輸入金額比率が石油を超えて、最も高い14.6%を占めていた。
海外メーカーが市場独占する状況を突破するために、国内企業の育成を国家支援により打ち出しており、半導体産業を支援するため、2014年に国家集成電路産業投資基金(通称:大基金)を設立した。大基金は半導体産業の先端技術開発や量産工場の発展を支援する半導体専門の国家級ファンドである。中国工信部と財政部の指導のもと、国家開発金融や中国煙草、北京亦庄国際投資発展、中国移動通信集団、上海国盛集団、中国電子科技集団、北京紫光通信科技集団、華芯投資管理などを発起人に設立された。
大基金は設立して以来、ウェハ製造、メモリ製造、化合物半導体、SiC、AI関連などさまざまな半導体関連分野で投資活動を行い、2014年~2018年5月まで総投資額1,387億元(2.2兆円程度)により、公開で投資した企業数が23社となった。
メモリ製造分野では、中国三大メモリプロジェクトと呼ばれる長江存儲(YMTC、紫光集団傘下)、合肥長鑫(CXMT)、福建晋華(JHICC)が挙げられる。三社は2016年からメモリの開発・生産ラインの建設を開始し、共に大基金からの投資を受けていた。三大プロジェクトの総投資額が5,000億元を超えると見られており、そのうち、YMTCが主に3D NAND、CXMT、JHICCがDRAMの開発・製造に注力する。
中国メモリ三大プロジェクトの詳細 |
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企業名 |
YMTC |
CXMT |
JHICC |
製品 |
3D NAND |
DRAM |
DRAM |
プロセス |
32層64G |
19nm |
20nm |
投資時期 |
2016年12月 |
2016年5月 |
2016年7月 |
投資規模 |
240億ドル |
72億ドル |
56.5億ドル |
技術提携 |
Spansion 中国科学院微電子所 |
GigaDevice |
UMC |
量産時期 |
2018Q3 |
2018Q4 |
2018Q3 |
中長期計画 |
30万枚/月 |
12.5万枚/月 |
20~30万枚/月 |
中国がメモリ市場を成長させる強い意思が見られるが、技術の突破や国際環境などさまざまな問題にも直面しなければならず。JHICCのMicronとの特許戦争が代表的な事例である。国内メモリメーカーは短期で海外メーカーに追いつくことが困難であるが、国内自給率低下を解決するには長期戦の構えである。