新型コロナウイルスが中国経済に大きな影響を与え、多数の産業が深刻な打撃を受けると同時に、新たなチャンスを生み出している。今回の新型コロナウイルスは多数の産業の流れを変えるに違いない。

一．  飲食産業

新型コロナウイルスは飲食産業へ深刻な影響を与えている。中国料理協会が発表した「2020新型コロナウイルス疫情期間中国飲食業経営状況和発展趨勢調査分析報告書」によると、防疫期間に、78%の飲食企業の営業損失は100%以上であり、正月の7日間だけで、飲食産業に5000億元程度の損失が発生した。新型コロナウイルスの強制により、各店舗は相次いでオンライン事業を展開している。Alibaba傘下の出前プラットフォーム餓了么のデータによると、ここ1カ月で全国に15万以上のオンライン店舗が開通し、出前サービスを開始した。餓了么は武漢地区の優良商店に3月31日まで、他の地区の優良商店に2月29日まで、プラットフォームの使用料金を免除する。その他、出前サービスもアップグレードされ、「無接触配送」などの出前サービスが急拡大している。

二．  ネットショッピング

中国ではネットショッピングが流行しているが、今回は中国政府が外出制限措置を取ったことで、ネットショッピングが拡大を加速させている。Alibabaの電子商品取引プラットフォームTaobaoのデータによると、春節から2月中旬まで、毎日3万店程度でTaobaoにオンライン店舗を開通し、Taobaoの生放送を開通する店舗数は前年同期比7倍近く増えた。供給の面で、多くの生鮮オンライン店舗、農産物電子商店が加速的に増加している;。消費の面でも、多くの消費者がオンラインでネットショッピングを行っている。チャネル面では、売場のO2O化が加速し、携帯電話で注文することで、製品やサービスが自宅に届くようになった。Alibaba、JD商場など中国の有名な電子商品取引プラットフォームを持つ会社は、今回の新型コロナウイルスの流行を受け、オンライン製品やサービスのアップグレードを加速させる可能性が高い。

三．  テレワーク、オンライン教育

テレワークは新たなトレンドとなり、仕事が空間的な制約を受けなくなり、遠隔テレビ会議、遠隔署名式などの方式が普及している。現在、少なくとも2億人がテレワークをしていると集計された。TencentのWeChat企業版、AlibabaのDing Talk、ByteDanceなどがこの市場を先取りしている。教育業界では、新型コロナウイルスにより全ての学校が休校となり、教師と学生はこの状況で、各生放送プラットフォームを利用し、オンライン授業を実施する。オンライン教育はこれで発展し、共有教育もこれにより多くの人に認められた。同時に、新型コロナウイルスで、各大手生放送プラットフォームはより多くのユーザーを獲得し、新たな成長を得た。

四．  健康産業

2020年3月2日までに中国国内での感染者数は80,000人を超え、死亡者数は3,000人に迫った。各種の隔離防護措置の下で、更に多くの人の生命を救護する。今回の新型コロナウイルスで、健康産業は重視され、運動健身、生物医薬、美容水治療などはいずれも新たな急成長を迎える可能性がある。それ以外に、人々はもっとも体の健康と心の健康を重視しており、個人医者とカウンセラーなどが求められる。また,オンライン問診というサービスモデルも認められ,オンライン医療などが盛んになってきている。

今回の新型コロナウイルスは、中高年者の感染比率と死亡比率が高い。現在中国では高齢化が進み、新型コロナウイルスは健康産業の中高年分野を発展させ、高齢粉ミルクなどの栄養補助食品、老人ホームなどの数量と質が向上させる。

新型コロナウイルスは中国の病院施設の不足、診療機器の不備、医療用物品の備蓄不足などの問題を十分に暴露した。特に湖北地区では、病院のベッド、医療マスク、防護服、ゴーグルなどの物資が不足し、医療関係者が過負荷で従事している。新型コロナウイルス発生期間中、北京、上海、深圳セン、西安などの地域は多くの政策を打ち出し、医療衛生関連企業に資金を援助し、ワクチンの開発と医療用物品の生産を加速させている。2019年、国内の医療健康への投資額は3000億元である。複数の国内専門家によると、新型コロナウイルス発生後、病院、医療看護製品などの医療健康分野への投資は2019年より著しく増加し、関連業界は新しい経済成長の局面を迎えていると分析する。

五．  5G通信

今回の新型コロナウイルスは5G通信の進展と設備供給に影響を与え、国内の5G通信インフラの建設を遅延させたが、中国の3大通信キャリアは今年の5G通信のネット建設任務を完成できると表明する。同時に、新型コロナウイルスは中国で発展中の5G通信の一部の領域にも非常に大きなチャンスをもたらす。武漢に建設された雷神山、火神山病院では、通信キャリアの支持(協力)を得て、すぐに5G通信基地局を設置し、中央テレビと協力し、病院の建設状況を見ることができた。これも新世代5G通信技術の災害前の重要な応用である。

遠隔医療は今回の新型コロナウイルス発生においても重大な役割を果たし、5G通信による遠隔問診、遠隔検査、5G医療用ロボットは水やご飯の運送、薬剤の配給、体温の測定などをすることで、医療関係者の安全を保証するだけでなく、仕事の効率も著しく向上する。新型コロナウイルス終結後、5G通信技術の普及に伴い、医療業界、特に遠隔医療において、関連設備の供給者と人員訓練の需要が増加することが予想される。

今回の疫病の流行の下で、多くの5Gの応用シーンも発見され、5G通信+無人機の遠隔注意を呼びかけ、コミュニティの管理を行った。5G通信+赤外線イメージング体温測定など、各種の5G通信関連シーンが発掘され、今後、関連業界には大きな需要が期待される。

六．  軌道交通

中国の高速鉄道は発達しているが、支線は不足している。今回の新型コロナウイルスでは、多くの乗客が武漢などの交通ハブに到着した後、バスなどに乗り換えなければ家に着くことができない。国家発展改革委員会は2019年末には、来年の軌道交通、高速鉄道、空港などの分野を含む2700億元のインフラ建設プロジェクトを発表した。これらの2020年のプロジェクトの整備は、新型コロナウイルスの発生により重視され、関連部門はプロジェクトの準備と実施を急速に推し進めている。