―2026年市場予測(2021年比)―
●ロボット掃除機 2,013万台(18.3%増)
~参入メーカーも多い中国が需要の中心。先進国でも堅調に伸びる~
●美顔器 6,223万台(34.4%増)
~需要の中心エリアは中国、欧州、北米。巣ごもり需要により新規ユーザーが増加~
●浄水器 1億2,796万台(22.5%増)
~中国やインド、東南アジアの伸びが拡大をけん引。設置工事が不要な蛇口直結型が好調~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、半導体不足や原材料価格の急騰、輸送コストの上昇など取り巻く環境は不透明なものの、先進国の安定した需要や新興国の需要増加を背景に、堅調な拡大が期待される家電製品の世界市場を調査した。その結果を「グローバル家電市場総調査 2022」にまとめた。
この調査では、衣住関連8品目、調理関連13品目、空調/給湯関連9品目、美容/健康関連10品目の国・地域別生産・販売動向の現状を分析し将来を予想した。
<注目市場>
●ロボット掃除機
| 2022年見込 | 2021年比 | 2026年予測 | 2021年比 | 
| 1,773万台 | 104.2% | 2,013万台 | 118.3% | 
家庭用のロボット掃除機を対象とする。
2021年の市場は、中国や北米がけん引し前年比7.7%増となった。需要の中心は中国であり、中国メーカーの参入が多いことから、2021年は市場の6割近くを占めた。米国では新型コロナウイルス感染症対策として現金給付が行われ、それがロボット掃除機の購入促進につながったとみられる。日本は2020年に大きく伸びたたため、2021年はほぼ横ばいであったが、高額商品の販売が好調であった。今後も中国や北米、欧州などを中心に市場拡大が期待される。
生産拠点は参入メーカーの多い中国に集中している。自社ブランドを中心に展開するメーカーに加え、多くのOEMメーカーが存在する。メーカーによって技術力のばらつきは大きく、幅広い価格帯の製品が発売されている。一方、大手米国メーカーが中国からマレーシアに生産拠点を移転する動きもみられる。
●美顔器
| 2022年見込 | 2021年比 | 2026年予測 | 2021年比 | 
| 4,833万台 | 104.4% | 6,223万台 | 134.4% | 
家庭用の顔用美容電気機器を対象とする。スチーマーや各種ローラー式、超音波式、イオン導入・導出式、EMS式、洗顔ブラシなどを含む。
需要の中心エリアは中国や北米、欧州である。巣ごもり需要により初めて美顔器を利用するユーザーに、毛穴をケアできるスチーマーをはじめとしたスタンダードな製品が受け入れられ、市場は拡大している。また、中国を中心にECでの販売が好調である。日本では、新型コロナ流行によりインバウンド需要が消失したが、2020年頃から自宅で行う美容習慣が広まったことから、安定した需要がみられる。巣ごもり需要を受けた製品として注目を集めており、各メーカーが新たな生活習慣に対応した製品開発を進めていることから、今後も各エリアで需要増加が予想される。
●浄水器
| 2022年見込 | 2021年比 | 2026年予測 | 2021年比 | 
| 1億897万台 | 104.3% | 1億2,796万台 | 122.5% | 
家庭用の浄水器を対象とする。蛇口直結型やポット型、据え置き型、ビルトイン型、水栓一体型などのタイプがある。ろ過方式としてはフィルタータイプとランプタイプに大別される。新型コロナ流行に伴う巣ごもりにより、家庭での水の使用量増加や健康意識の高まりを背景に、市場は拡大している。
世界生産の5割以上を占める中国が需要の中心エリアでもあり、2021年は市場の4割以上を占め、今後も拡大をけん引するとみられる。伸びが大きいのはインドであり、今後は10%近い伸びが続くと期待される。新興国では水道整備による水質の改善が進んでおり、今後も堅調な需要増加が予想される。なお、新興国では浄化能力の高い、設置工事が必要なRO膜式浄水器が普及しているが、コロナ禍においてはユーザーによる設置が可能で、ECで購入しやすい蛇口直結型が伸びている。日本では、新型コロナ流行を受けた巣ごもりによる健康意識の高まりや自宅での調理機会の増加を背景に、買い替え・新規ともに堅調である。
■生活家電3品目の世界市場
| 2022年見込 | 2021年比 | 2026年予測 | 2021年比 | |
| 洗濯機/洗濯乾燥機 | 1億1,724万台 | 95.5% | 1億2,138万台 | 98.9% | 
| 冷蔵庫 | 1億2,400万台 | 98.1% | 1億2,919万台 | 102.2% | 
| ルームエアコン | 1億6,611万台 | 100.8% | 1億7,366万台 | 105.4% | 
洗濯機/洗濯乾燥機は、家庭用の洗濯機および乾燥機能付きの洗濯機を対象とする。
前年の経済活動の低迷から回復した中国での需要増加にけん引されて、2021年の市場は前年比10%弱の拡大となった。北米は底堅い個人消費に支えられ伸びた。2022年の市場は、中国が2021年に好調だった反動で落ち込むとみられることなどから、前年比4.5%減が見込まれる。先進国を中心に市場は成熟しているものの、今後は比較的普及率が低いインドやベトナムをはじめとした東南アジアなどでは需要増加が期待される。
世界生産の5割以上を中国が占め、欧州・ロシア、東南アジアが続く。2021年は需要低迷の影響で生産が縮小した東南アジアであるが、今後はベトナムなどの需要増加を背景に拡大が予想される。
冷蔵庫は、中国やインド、北米で好調だったことから、2021年の市場は前年比5.7%増となった。中国や北米ではハイエンド機種が好調な一方、インドでは依然として2ドアタイプが主流である。先進国では市場が成熟しており横ばいで推移するとみられるが、インドやベトナムなどでは今後堅調な伸びが予想される。
世界生産の5割弱を中国が占めている。2021年は内需が好調だったインドや、給付金などで個人消費が好調な米国の需要増加を受けてメキシコが伸びた。メキシコでは、米国で高いシェアを有する韓国メーカーが生産を拡大させている。
ルームエアコンは、家庭用のエアコン(室外機)を対象とする。2021年は多くのエリアが好調で、前年比10%以上の市場拡大となった。中国は脱炭素を目的に北部の農村部でルームエアコンの設置に対する支援策が打ち出されたことが要因となり、大きく伸びた。米国は新型コロナ関連の給付金が購入を後押しした。一方、日本は2020年に好調だった反動で、2021年は前年比5%弱の縮小となった。2022年以降は新興国の伸びが期待され、ベトナムをはじめとした東南アジアや、インドや中南米が市場拡大をけん引すると予想される。
最大の需要地である中国は、最大の生産エリアでもあり、世界生産の7割前後を占めている。東南アジアやインドでは、需要の増加とともに、生産エリアとしても期待されている。
<調査対象>
| 衣住関連 | ・洗濯機/洗濯乾燥機 | ・掃除機 | ・アルカリイオン整水器 | 
| ・衣類乾燥機 | ・ロボット掃除機 | ・温水洗浄便座 | |
| ・アイロン | ・浄水器 | ||
| 調理関連 | ・冷蔵庫 | ・ジューサー/ミキサー | ・ホームベーカリー | 
| ・電子レンジ/電気オー | ・コーヒーメーカー/エス | ・電気ケトル | |
| ブンレンジ | プレッソマシーン | ・炊飯器 | |
| ・IHクッキングヒーター | ・フードプロセッサー/ | ・ワインクーラー | |
| ・食器洗浄乾燥機 | フードチョッパー | ||
| ・トースター | ・ホットプレート | ||
| 空調/給湯関連 | ・ルームエアコン | ・換気扇 | ・加湿器 | 
| ・パッケージエアコン/ | ・扇風機 | ・シーリングファン | |
| ビルマルチエアコン | ・空気清浄機 | ||
| ・電気給湯器 | ・除湿機 | ||
| 美容/健康関連 | ・メンズシェーバー | ・ヘアアイロン | ・体重計/体組成計 | 
| ・レディースシェーバー/ | ・美顔器 | ・体温計 | |
| 脱毛器 | ・電動歯ブラシ | ・マッサージチェア | |
| ・ヘアドライヤー | ・血圧計 | 
<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
<調査期間>
2021年11月~2022年2月